年末調整の前に確認!令和8年の「年収の壁」はこう変わりました
朝晩の冷え込みが感じられる季節になりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
この時期になると、パートやアルバイトの方からこんな質問が増えてきます。
「今年はあといくら働いても大丈夫ですか?」
「扶養から外れないか心配で…」
令和8年は、所得税と社会保険の両方で「年収の壁」が大きく変わった年です。
ニュースで「178万円」「106万円撤廃」と聞いても、
何がどう変わったのか分かりにくいですよね。
今回は、所得税と社会保険に分けて、一緒に整理していきましょう。
所得税の壁は「178万円」へ
160万円から178万円に引き上げ
令和8年度の税制改正で、給与収入だけの方が所得税を払い始める年収は、
昨年の160万円から178万円に上がりました。
内訳は次のとおりです。
給与所得控除の最低保障額:74万円(本来の額69万円+令和8・9年の特例5万円)
基礎控除:104万円(合計所得489万円以下の場合。本来の額62万円+特例42万円)
74万円+104万円=178万円、という計算です。
反映されるのは12月の年末調整
11月までの毎月の源泉徴収は、これまでと同じ税額表で計算されています。
改正後の控除額は12月の年末調整でまとめて反映されるため、
例年より還付額が多くなる方が増える見込みです。
扶養の判定ラインも上がりました
配偶者控除や扶養控除の対象になる要件も見直されています。
- 配偶者控除・扶養控除:給与収入136万円以下(従来は123万円以下)
- 配偶者特別控除:給与収入207万円以下まで、段階的に控除を受けられます
- 19歳以上23歳未満の子ども(特定親族特別控除):給与収入197万円以下まで、
- 段階的に控除を受けられます
住民税の壁は別物です
178万円はあくまで所得税の話です。
住民税は基準が異なり、令和8年分の収入(令和9年度の住民税)では、
おおむね119万円前後から課税が始まります。
具体的な金額はお住まいの自治体によって異なります。
社会保険の壁も大きく変わりました
「106万円の壁」は10月1日に撤廃
令和8年10月1日から、社会保険に加入する条件のうち
「月額8.8万円以上(年収約106万円)」という賃金の条件がなくなりました。
これからは次の条件で加入するかどうかが決まります。
週の所定労働時間が20時間以上
従業員数51人以上の企業に勤めている
学生ではない
つまり、これからは「106万円の壁」ではなく「週20時間の壁」になります。
従業員数の条件も、令和9年10月以降に段階的に引き下げられる予定です。
中小企業の方も今のうちから準備しておくと安心です。
「130万円の壁」は労働契約の内容で判定
家族の扶養に入れるかどうか(被扶養者認定)は、令和8年4月から、
労働条件通知書などに書かれた契約内容で年収を見込んで判断するようになりました。
契約上の年収が130万円未満であれば、想定外の残業で一時的に超えても、
扶養のままでいられる可能性が高くなります。
ただし、次の点に注意が必要です。
所得税では非課税の通勤手当も、社会保険の判定では全額を収入に含めます
給与以外の収入(事業収入、年金など)がある方は、従来どおりすべての収入を合計して判定します
19歳以上23歳未満は「150万円」
令和7年10月から、19歳以上23歳未満の子ども(配偶者を除く)は、
扶養に入れる年収の基準が150万円未満に広がっています。
大学生のお子さんがいるご家庭は、ぜひ覚えておきたいポイントです。
経理担当者がチェックすべきポイント
① 労働条件通知書の見直し
130万円の判定が契約内容で行われるようになったため、時給、所定労働時間、
手当、残業の有無を正確に書いておくことが、これまで以上に大切です。
② 週20時間ラインの確認
短時間で働く方の所定労働時間が週20時間以上になっていないか、改めて確認しましょう。
③ 年末調整の準備
扶養控除等申告書の回収と、還付額の増加に向けた資金の準備も忘れずに進めましょう。
おわりに
「178万円まで働けると聞いたのに、社会保険の扶養からは外れてしまった…」
こうしたご相談が、今年は特に増えています。
税金の壁と社会保険の壁は、それぞれ別のルールで動いています。
従業員の方への説明や年末調整の対応に不安がある方は、ぜひ弊社へご相談ください。

