今押さえておきたい社会保険制度
~2026年上半期の制度改正と実務対応のポイント~
梅雨明けが待ち遠しく、本格的な夏の訪れを感じる季節となりました。
7月は、労働保険の年度更新や算定基礎届(定時決定)の提出など、社会保険実務が集中する時期です。2026年上半期も、保険料率の改定や新たな制度の開始など、企業実務に影響を及ぼす改正が行われました。
社会保険制度は、従業員の生活を支える重要な制度であると同時に、企業の給与計算や労務管理に欠かせないものです。制度改正への対応が遅れると、保険料の算定誤りや届出漏れにつながるおそれもあるため、最新情報を把握し、適切に対応することが重要です。
今回は、ぜひ押さえていただきたいポイントをご紹介します。
社会保険の最新動向
健康保険・介護保険料率の改定
毎年3月分(通常4月納付分)から、健康保険料率と介護保険料率の見直しが行われています。
健康保険料率は、各都道府県の医療費や加入者数などを踏まえて決定されるため、協会けんぽでは都道府県ごとに料率が異なります。
そのため、同じ給与額でも勤務地や加入する健康保険組合によって保険料が変わる場合があります。
また、40歳以上65歳未満の被保険者が負担する介護保険料率も毎年改定されます。年度替わりは給与システムの設定変更や保険料率の更新漏れが起こりやすい時期でもあるため、給与明細の控除額や給与システムへの反映状況を改めて確認しておくことが大切です。
「子ども・子育て支援金制度」の開始
2026年4月から、「子ども・子育て支援金制度」が開始されました。
この制度は、少子化対策を強化するための安定した財源を確保し、児童手当の拡充や妊娠・出産・子育て支援の充実を図ることを目的として創設されたものです。
企業が新たな届出を行う制度ではありませんが、社会保険制度の一部として運用されるため、従業員から制度内容について質問を受ける機会が増えることも考えられます。制度の背景や目的を理解しておくことで、適切な説明や相談対応につながるでしょう。
算定基礎届は社会保険料を決定する重要な届出
毎年7月に提出する算定基礎届(定時決定)は、9月から翌年8月まで適用される標準報酬月額を決定するための重要な手続きです。
対象となるのは4月・5月・6月に支払った報酬で、基本給だけでなく、残業手当、通勤手当、役職手当、資格手当なども含まれます。一方で、報酬に該当しない支給項目もあるため、正しく区分して届出を行うことが重要です。
標準報酬月額は、毎月の社会保険料だけでなく、傷病手当金や出産手当金などの給付額にも関係する重要な基準となります。提出前には給与データや勤怠情報を十分に確認し、正確な届出を心掛けましょう。
労働保険の年度更新
6月から7月は、労働保険(労災保険・雇用保険)の年度更新期間でもあります。
年度更新では、前年度の確定保険料を精算するとともに、新年度の概算保険料を申告・納付します。対象となる賃金には賞与や各種手当も含まれるため、集計漏れや計算誤りがないか十分に確認することが大切です。
算定基礎届と提出時期が重なるため、年間スケジュールを確認し、計画的に手続きを進めることで、届出漏れや事務処理ミスの防止につながります。
終わりに
社会保険制度は、毎年の制度改正や保険料率の見直しにより、企業実務へさまざまな影響を与えています。制度の内容を正しく理解し、適切に対応することは、正確な給与計算や適正な労務管理につながるだけでなく、安心して働ける職場づくりにもつながります。
特にこの時期は、算定基礎届や労働保険の年度更新など、重要な手続きが集中します。制度改正の内容を確認し、計画的に準備を進めることで、届出漏れや手続きの誤りを防ぐことができます。
社会保険・労働保険に関する各種手続きや給与計算をはじめ、労務・税務に関するご不明な点や実務上のお困りごとがございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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